灼熱冷酷少女 第1話 その3
……だが、何時まで経っても、何も感じなかった。
ゆっくりと目を開ける。
レイジの体は無傷だった。突っ込んできた若い男の姿は無く、その付近には真っ赤になり煙を立てる鉄の塊のようなものが転がっていた。原形をとどめていない中で何とか残っている突起からすると、あれはかつて銃だった物のようだ。
「――?」
何が起きた? 状況がつかめない。
「き、貴様ぁー!!!」
今度は男達全員が物凄い形相で、レイジの元に向かっていた。
「俺が何したって……」
レイジが反論を言おうとした瞬間。少女が後ろからレイジの前に立った。視線が少女に向かう。
そして、手を広げ前に出す。
レイジはつられて男達の方を向く。刹那。男たちの姿が消えた。残ったのは、鉄の塊、銃の残骸。
レイジは少女を見る。
「お前は何を……」
言うと、少女は反抗的な目で返し。同様、手のひらをレイジに向けた。
だが、その瞬間に少女は苦しそうに目を閉じ、倒れた。
慌ててレイジは少女の身体を支えた。意識は無い。
「おい、どうした?」
荒く息をする少女の表情を見て、レイジはすぐに少女を抱え、自宅へ向かった。
これが、レイジと少女の出会いなのだった。