灼熱冷酷少女 第1話 その1
青い空、青い海、白い砂浜。
清々しい波音が、優しく包む。
少年が一人。一人で、砂浜の中心で腰を下ろしていた。
少年はこの海が好きだった。決して綺麗ではないけれど、空の青が海に映り、目に映る。休むには丁度良かった。
彼の名前は『浜 怜二(はま れいじ)』。高校3年生。
この付近に高校があるが、自宅は遠くにある。数年前に引っ越した。
しかし、地域に馴れる事が出来ず、義務教育が終りを告げると同時に、ここに戻ってきた。
今は、幼馴染の祖母が経営していた、宿の一部屋を借りている。
宿は閉じてしまった。祖母が亡くなると同時に。
現在は、レイジが住み着いている。もちろん一人で戻ってくる前に許可を取って。
レイジは海と一緒にどれだけの時間を過ごしたのだろうか。勉強より休んでいる時間の方が長かった。
「さて……」
そろそろ戻ろうと立ちあがった。そのときだ。
複数人の足音が聞こえた。早い。更に声も聞こえた。
「絶対に逃がすな! 殺しても構わない!」
絶対そう聞こえた。もしかしたらここにいたら危険かもしれない。でも、危機感より好奇心が強かった。
声が聞こえた方向を見ると、小さな赤くて長い髪をした少し小さな少女と、その後ろに迷彩服を着てでっかい銃を構えた男が幾人かが、走って向かってくるのがわかった。