神サマの貰い物

この物語はバレンタインデー特別企画として製作されたものであり『神サマの忘れ物』の数日後の設定です。それゆえ一部ネタバレ要素が含まると思いますが軽くスルーしておいて下さいｗ

２月１４日　一般常識ではバレンタインデーである。そんな日に彼女らに振り回される少年が約一名いるのであった。

いつも通りに登校する高校二年生の『鈴木　涼太（すずき　りょうた）』はこの日の存在をすっかり忘れていた。

「あぁ、眠……」

頭がボーっとすること数分。すると、教室に涼太の親友の一人『田中　美鈴（たなかみれい）』が入ってきた。その直後に涼太の机の前までやってきた。

「はい、これ。バレンタインデーのチョコ」

美鈴は涼太に包みを一つ渡した。

「え……あぁ、そうだっけ？　ありがとう」

涼太は包みを確認してみると包みに大きくマジックで『本命』と書いてあった。

「どぁ……！」

それに驚き、妙な声をあげると同時に頭を机にぶつけた。

「ちょっと……考えろよ」

「あ、何かいけなかった？」

残念ながら美鈴はちょっとズレているのである。

そして涼太はさっさとその『本命』と書かれた包みを鞄にしまうともう一度机に顔を伏せた。

「よぅ、涼太」

「い、痛っ！」

涼太の背後から攻撃したのは涼太の数少ない友人『木村　幸田（きむら　こうた）』である。幸田は何やら包みを持っている。

「何だソレ……」

涼太はそう言った後、包みを確認するとマジックで大きく『義理』と書いてあった。

「いいだろ、いいだろ、田中から貰ったんだ」

幸田は「思いっきり義理チョコ」だということに気付いていないようだった。流石に可哀想だと思っていたので涼太は黙っておくことにした。

すると、その二人の間に入ってきた。それは委員長の『白井　エリカ』である。

「これを受け取りなさい」

突如、涼太の机に『何か』を叩きつけるとさっさと去っていった。

「何だ……あれ……って、これはお前宛のチョコじゃ……なぁ、開けてみろよ」

催促する幸田に痺れを切らした涼太はその『何か』を開けてみた。その中には手作りと思われるチョコと手紙が入っていた。

その手紙を幸田にばれないように涼太は読んでみた。

『貴方のことが嫌いです。これ以上近寄らないでください』

「…………」

言葉が出ない涼太。

「どうした？　涼太」

「あ……いや別に」

丁度、チャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。

――そして、放課後。

訳あって美鈴の家に居候してる涼太は美鈴と共に帰宅した。

「ただいまー」

涼太が家に入ると『佐藤　澪（さとう　みお）』が涼太に近づいてきた。彼女も訳ありで居候の身なのである。

「はい、これ」

澪は涼太の口にチョコをそのまま押し込んだ。どうにかそれを飲み込んだ。

「それ……『ぎりぎりチョコ』だから」

澪は照れくさそうに言った。

「って、義理の義理ってことか？」

「違う違う、賞味期限が×年過ぎてたから食べれるかどうか分からないから『ギリギリチョコ』」

「な、何でそんな危険なものを……俺に…………ぐっ……」

因みにその後、涼太は一晩中眠ることが出来きずにとある部屋にこもりきった。原因は無論――――