その理由 第1話

剣を振れば衝撃波、呪文を唱えれば火の玉が、この世界は、武術や魔術が存在する世界である。

しかし、国同士が争い合うところがあり、人を襲う怪物がいる、決して平和な世界ではないだろう。

そんな世界で巻き起こる、少年達の旅が始まるのである……





ここは東の国の東に位置する町である。

その町はそれなりに繁栄しており、他の国や町との争いの無い平和な町であり、中心には大きな学校が存在する。



因みにこの世界の学校は小等部・中等部・高等部と1つの敷地内に建てられている。

その中でまた、武術部と魔術部の2つに分かれる。この世界は争いが無かろうが凶暴な怪物が無数に存在しているため、勉学よりもそちらを優先されてしまうのである。

また、武術と魔術を両立させてしまうと『二頭追うものは一頭も得ず』両方とも中途半端になるのも分かれている理由だ。

ただ世界は広い、他の地域に行けば、両方の基礎だけを扱うところや勉学だけというところもある。

さて、先ほどから出てきている『武術』や『魔術』であるが、『武術』とは主に剣やナイフといった武器や肉体を扱うものであり、逆に『魔術』は呪文を唱え、火の玉などを発生させるような『魔法』を扱うものである。


そこで、武術高等部450人ほどの中の、とある少年『ケイ』とその友人である『リョウ』に目を向けてみようではないか。





ケイとリョウは武術部校舎と魔術部校舎を結ぶ渡り廊下を歩いていた。

「ケイ、お前はパーティ決めたか?」

リョウは少し焦っているようだ。

「俺はこの前の全校集会で決めたけど、お前はまだ決めてないのか?」

それにケイは少し驚いて答えた。


なお、全校集会とは1年に一度、中等部や高等部といったその部に所属する生徒全員が集まることである。そこで、気になった人物同士で友好を深め『パーティ』を組むのである。

さらに、パーティとは2人から4人くらいのチームを作ることである。課外実習等で一緒に行動することが多い。全校集会では学年や武術・魔術という学習の範囲を超えて顔を合わせあいさらにチームを組むことができるので色々なタイプのパーティが存在する。




「頼む、俺もパーティに加えてくれ」

リョウはケイの前に出て頼み込んだ。

「丁度、パーティに一人欲しかったんだ、俺からも頼むよ」

ケイは少々仕方無さそうに答えた。

「恩に着るぜ……じゃぁ早速パーティメンバーの皆さんに挨拶をしにいくかな、ケイ、メンバー表を見せてくれ」

「ほらっ」

ケイは適当に名簿をリョウに渡した。

「じゃ、俺行くよ」

リョウは先に走っていった。

「……ったく、ってこれから課外授業だ。遅刻したら殺される」

ケイも走り去っていった。



なお、高等部は武術棟と魔術棟に分かれていて、真ん中を通るかのように渡り廊下がある。

因みに、渡り廊下には校長室が存在するが校長はそれぞれに存在するのではなく高等部なら高等部に1人しかいないのである。



さて、ケイのことだが、集合時間より早く集合場所である中庭にたどり着いていた。

「あれ? ちょっと早すぎたかな?」

しかと鎧をつけ、左腰に剣を装備した、ケイの姿があった。


すると急に緊急警報の放送が入ってきた。

『進入者が高等部に入ってきました、中庭にいる戦闘準備のできている生徒は至急中庭付近にいる侵入者を撃退してください』

「中庭で準備できてるのって……俺か? まぁ、みんな来るよな」

緊急放送は通常入らないはずなのである。なぜならば、それぞれの学部の門の前には警備がいる、しかもその警備は大の大人で戦闘力は並のレベルではないのでそう簡単には突破できないはずである。

さらに、突破できても、中は全員武術なり魔術なり使えるので、たこ殴りである。

ただし、全員常に武装していられないので、課外授業という名で一部の生徒に中の警備をさせるのである。

「侵入者どこだ! 出て来い!」

ケイは剣を構えて叫んだ。


「もしかして、その侵入者って、僕のことかい?」

突然、ケイと同い年くらいの金髪の少年が急に現れた。